公認心理師 過去問
第6回(2023年)
問70 (午前 問70)
問題文
Aの再非行を説明する理論として、最も適切なものを1つ選べ。
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
公認心理師試験 第6回(2023年) 問70(午前 問70) (訂正依頼・報告はこちら)
Aの再非行を説明する理論として、最も適切なものを1つ選べ。
- A. K. Cohen の非行下位文化理論
- D. Matza の漂流理論
- E. H. Sutherland の分化的接触理論
- H. S. Becker のラベリング理論
- T. Hirschi の社会的絆理論
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (3件)
01
この問題は、男子Aが万引きを繰り返した事により保護観察の決定を受けたが、3か月後に再び万引きをしてしまったという事例です。
この事例のポイントは、男子Aが保護観察の決定を受けてから、同級生から避けられる、親や教師から悪い事をしているのではないかと疑われるという状況があったという点です。
この状況を説明できる理論を選択します。
誤りです。
非行下位文化理論とは、ある文化の中で小集団で生活している人達、下位の文化で生活している人達が犯罪、非行を起こしやすいと考えるものです。
この事例の男子Aにも当てはまるかもしれませんが、明確な記述はありませんし、他の選択肢により的確なものがあると考えられます。
誤りです。
漂流理論とは、非行少年の生活や考え方は、常に悪い方向、非合法な文化にあるのではなく、善の方向や合法的な文化との間を行き来していると考える理論です。
この事例の男子Aにも当てはまるかもしれませんが、明確な記述はありませんし、他の選択肢により的確なものがあると考えられます。
誤りです。
分化的接触理論とは、人間は生まれ持った性格や特性によって犯罪や非行を起こすのではなく、仲間集団や社会において犯罪の文化を学習してしまうために犯罪や非行が起こすという考え方です。これについて、「犯罪行動は習得される」「コミュニケーションの過程を経て他人から習得される」などの、9つの命題が示されています。
この事例の男子Aにも当てはまるかもしれませんが、明確な記述はありませんし、他の選択肢により的確なものがあると考えられます。
正答です。
ラベリング理論とは、犯罪や非行が起きる理由として、社会が特定の行為を「逸脱」と判定し、レッテルを貼る事によって、その逸脱行為をした者を「逸脱者」とみなすために、逸脱者(犯罪や非行を起こす者)が生み出されると考えるものです。
この事例の男子Aは、学校や家庭という社会へ戻った際に、周囲からレッテルを貼られたために、行動の改善が難しく、再び万引きをしてしまったと考える事ができます。
よって、この問題ではラベリング理論を選択する事が適切と言えます。
誤りです。
社会的絆理論とは、人間が犯罪を犯さないのは社会との絆があるからであり、その絆が壊れたり、弱まったりした時に犯罪が起きるという考え方です。
この事例の男子Aにも当てはまるかもしれませんが、明確な記述はありませんし、他の選択肢により的確なものがあると考えられます。
参考になった数18
この解説の修正を提案する
02
Aの行動について、選択肢の理論をそれぞれ検討していきます。
社会的な価値観や文化が非行行動を引き起こすという理論です。
しかし、Aの場合、再非行は個人的なラベリングの影響が強く出ているように見受けられます。
よって不適当な解答となります。
非行者が一時的に規範から外れた状態に陥ることで非行を行うという理論ですが、Aのケースではラベリングによる影響が強調されています。
よって不適当な解答となります。
犯罪行動は犯罪者との接触によって生じるとする理論ですが、Aの再非行においては他者との接触よりもラベリングの影響が強いように思われます。
よって不適切な解答となります。
正解です。
この理論によれば、人々が犯罪者や非行者とラベルを貼られた際、そのラベルが彼らの自己イメージと行動に影響を与えるとされています。
Aが少年鑑別所から戻ってきた後、周囲からのラベリング(「鑑別所帰り」というレッテル)が付いたことで、彼の自己イメージや行動に影響を与えた可能性があります。
犯罪を抑制する要素が不十分なために非行が起こるとする理論ですが、Aの場合、周囲のラベリングが再非行に影響している可能性が高いと考えられます。
よって不適切な解答となります。
以上の検討の結果、Aの再非行を説明するには「4. H. S. Becker のラベリング理論」が最も適切です。
参考になった数4
この解説の修正を提案する
03
正解は「H. S. Becker のラベリング理論」です。この問題は、「再非行」に関して、社会学的理論からどのように理解できるかが問われています。
男子Aは保護観察中、周囲(親・教師・友人)から「鑑別所帰り」「悪い子」というレッテルを貼られてしまい、「また悪いことをしていないかと」懐疑的な目で見られています。こうした「社会からのラベリング(烙印)」が、本人の自己認識や行動を非行方向に強化してしまう考え方に適した選択肢を選びます。
不適切です。「K. Cohen の非行下位文化理論」は、一般的な社会規範から逸脱した特定の集団(下位文化)の少年が、学校などの中流階級的な成功基準に適応できず、「非行的な価値観」を持つ仲間集団を形成することで劣等感を解消する、という理論です。Aの場合は仲間集団の影響ではなく、社会からの烙印や偏見によって再非行に至っているため、適切ではありません。
不適切です。「D. Matza の漂流理論」は、少年が「良い」「悪い」の間を漂うように行動し、場面によって非行に流されることを提唱した理論です。少年Aの再非行については、そのような背景や情報はなく、周囲からの烙印やレッテルによる影響が読み取れるため、不適切です。
不適切です。「E. H. Sutherland の分化的接触理論」は、非行的な価値観や行動を学ぶ人間関係の中で非行が習得されることを提唱した学習理論です。少年Aの状況からは、非行集団や仲間による影響と感じられるものは少ないことから、不適切です。
適切です。「H. S. Becker のラベリング理論」は、社会が個人に「逸脱者」「非行少年」といったラベリングをすることで、本人がそのラベルを内在化し、結果再び逸脱行為をするようになる、とする理論です。設問の状況とも合致しているため、適切です。
不適切です。「T. Hirschi の社会的絆理論」は、人が社会に適応するのは、学校・家族・社会への絆の強さが影響しており、その絆が弱いほど非行に走ることを提唱した理論です。少年Aの場合は「絆の強さ」に関する説明はないことから、適当な選択肢ではありません。
参考になった数2
この解説の修正を提案する
前の問題(問69)へ
第6回(2023年) 問題一覧
次の問題(問71)へ