公認心理師 過去問
第5回(2022年)
問66 (午前 問66)
問題文
47歳の男性 A、会社員。Aは不眠を主訴に妻 Bに伴われて総合病院の精神科を受診した。2年前に Aは昇進し、大きな責任を担うことになった。しかし、この頃から寝付きが悪くなり、飲酒量が増加した。最近は、Bの再三の注意を無視して深夜まで飲酒することが多い。遅刻が増え、仕事にも支障が生じている。担当医は、アルコール依存症の治療が必要であることを説明した。しかし、Aは、「その必要はありません。眠れなくて薬が欲しいだけです」と述べ、不機嫌な表情を見せた。一方、Bは入院治療を強く希望した。Aと Bの話を聞いた担当医は、公認心理師 Cに Aの支援を依頼した。
現時点における Cの Aへの対応として、最も適切なものを1つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第5回(2022年) 問66(午前 問66) (訂正依頼・報告はこちら)
47歳の男性 A、会社員。Aは不眠を主訴に妻 Bに伴われて総合病院の精神科を受診した。2年前に Aは昇進し、大きな責任を担うことになった。しかし、この頃から寝付きが悪くなり、飲酒量が増加した。最近は、Bの再三の注意を無視して深夜まで飲酒することが多い。遅刻が増え、仕事にも支障が生じている。担当医は、アルコール依存症の治療が必要であることを説明した。しかし、Aは、「その必要はありません。眠れなくて薬が欲しいだけです」と述べ、不機嫌な表情を見せた。一方、Bは入院治療を強く希望した。Aと Bの話を聞いた担当医は、公認心理師 Cに Aの支援を依頼した。
現時点における Cの Aへの対応として、最も適切なものを1つ選べ。
-
入院治療の勧奨
-
自助グループの紹介
-
動機づけ面接の実施
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リラクセーション法の導入
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認知リハビリテーションの導入
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この過去問の解説 (3件)
01
治療につながるための導入時点における、心理師の関わりについての設問です。
不適切です。
医師からすでに入院治療を勧めており、男性Aは「必要ない」と拒否しています。心理師から推奨しても同様の結果、あるいは更なる抵抗につながる可能性があります。
不適切です。
医師からアルコール依存症の治療を勧められていますが、男性Aは「必要ない」と拒否しており、自身にアルコールの問題を抱えているということを否認しています。自身の問題を否認している状態で自助グループの紹介は時期早々です。
適切です。
男性Aは、アルコール依存症の治療はしたくないが、寝つきが悪くなり、遅刻が増え仕事に支障をきたしているため、不眠症状を改善する薬を所望しています。医師は不眠は深酒からきているためアルコール依存症の治療を勧めています。不眠を改善するという目標(動機)に焦点を当て、クライエントの変化したいというモチベーションを強化していくアプローチが望まれます。
不適切です。
不眠の原因がアルコールという物質によるものであれば、自律神経の副交感神経を優位にさせるリラクゼーション法では改善は見込めません。
ストレスから寝つきを良くするために、寝酒を始めた場合など、お酒ではなく、リラクゼーション法など別の方法で寝つきを良くするということは考えられます。
不適切です。
認知リハビリテーションは、認知症の患者様に用います。
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02
Aへの対応としては、行動変容ステージモデルに合わせた促しが有効と考えられます。
行動変容ステージモデルとは、人が行動を変えていくまでのステップを整理したものです。まず行動を変えようと思っていない無関心期から、行動を変えようと思う関心期、具体的に変えようと計画する準備期、行動を変えて間もない実行期、行動を変えてしばらく経った維持期の5ステップから成ります。
Aの言動から、現状は無関心期だといえます。この場合は、自分の現状を把握し、次の関心期へ繋げるアプローチが必要になります。
無関心期のAに対して、入院治療の勧奨は響かない、もしくは逆効果で治療の拒否に至る可能性があるため、不適切な対応といえます。
自助グループとは、同じ悩みを抱える人たちが集まり、相互理解や支援をしあうグループのことです。自助グループへの参加は、関心期以降であれば治療の助けになると考えられますが、無関心期のAにとっては違うアプローチの方が適切といえます。
動機づけ面接とは、クライエントの「変わりたい、けど変わりたくない」といった両価性に対して、変化に向かう言葉(チェンジトーク)を強調したり、引き出したりすることで、行動変容につなげる面接技法です。Aの中でも「変わりたい、けど変わりたくない」といった葛藤があると考えられ、変わりたい思いを引き出す動機づけ面接を行い、関心期へと行動変容を促すことが適切といえます。
リラクセーション法の導入は実際の治療にあたるため、行動変容ステージモデルの実行期や維持期にあたる対応といえます。したがって、不正解です。
認知リハビリテーションの導入は実際の治療にあたるため、行動変容ステージモデルの実行期や維持期にあたる対応といえます。したがって、不正解です。
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03
設問からAの問題の中核を捉えることが重要となります。
誤りです。
設問の記述では、Aが治療の必要性を認めておらず、強制的な入院は治療効果につながりにくいと考えられます。
誤りです。
自助グループでは、「断酒したい」という本人の意思が前提となります。治療の必要性を認めていないAに紹介しても「自分には関係ない」と考え、参加しない可能性が高いため、誤りです。
正しいです。
Aは治療の必要性を認めておらず、アルコール依存症であることを否認している状態と考えられます。そうした依存症者への治療の第一歩目は強制ではなく、本人の内発的動機付けを引き出す支援が必要となるからです。
誤りです。
Aのように治療の必要性を認めていない段階でのリラクゼーション法の導入は症状の本質的な改善につながらないばかりか、ややもすれば「リラクゼーション法によって気分を落ち着けることができれば飲酒してもよい」と考える可能性もあります。
誤りです。
認知リハビリテーションは注意や遂行機能などの認知障害に対する介入となります。Aの問題であるアルコール依存症やその否認については介入の対象とはなりにくいと考えられます。
治療の導入として心理士が面接する場面はあります。患者の状態をアセスメントし、治療につなげるためにどういった枠組みで関わるのか意識して関わることが重要だと考えられます。
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