公認心理師 過去問
第8回(2025年)
問58 (午前 問58)

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問題

公認心理師試験 第8回(2025年) 問58(午前 問58) (訂正依頼・報告はこちら)

アルコール依存症の離脱症状として、適切なものを2つ選べ。
  • 失行
  • 舞踏運動
  • 振戦せん妄
  • けいれん発作
  • 羽ばたき振戦

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は「振戦せん妄」と「けいれん発作」です。アルコール依存症は、長期にわたり大量の飲酒を続けることでお酒の飲み方を自分でコントロールすることができなくなり、日常生活においても様々な心身への影響を及ぼします。アルコール依存症の人が体内のアルコール濃度が低下してくると、様々な自律神経症状、情緒の変化、手の震えなどの様々な心身への影響を及ぼすことがあり、これを離脱症状と言います。

選択肢1. 失行

不適切です。失行とは、身体能力とそれを行う意思があるにも関わらず、その行動の実行に困難を要することを言います。脳機能の損傷により生じるため、アルコール依存症の離脱症状と関連があるとは言えません。

選択肢2. 舞踏運動

不適切です舞踏運動とは、手や足、顔などの自分の体が意図しない形でランダムに動いてしまう不随意運動のことを言います。原因は遺伝性のハンチントン病が代表的であり、その他にも多岐に渡り要因があるとされますが、アルコール依存症の離脱症状がその要因とは言えません。

選択肢3. 振戦せん妄

適切です振戦せん妄とは、アルコール依存症の離脱症状の一つであり、激しい手の震え、幻覚、意識障害、自律神経の乱れなどの症状が生じます。通常、アルコール離脱から3日前後で生じるとされ、その状態には個人差があります。

選択肢4. けいれん発作

適切ですけいれん発作とは、脳や神経の異常によって、自分の意思とは関係なく筋肉の収縮を繰り返すことを言います。原因は多岐に渡り、頭部外傷、脳損傷などのほかにも、アルコール依存症の離脱症状によっても生じます。

選択肢5. 羽ばたき振戦

不適切です。羽ばたき振戦とは、筋肉や神経をコントロールできず、手や指が勝手にふるえてしまう症状(腕を前に伸ばした時に、羽ばたくように震える)を言います。肝性脳症(肝臓の機能低下により生じる)を原因として症状が現れます。

まとめ

アルコール依存症の離脱症状により、様々な心身への症状が生じますが、離脱症状は時期によってもその状態が異なります。早期離脱症状(飲酒をやめて数時間後に出現)には、手の震え、発汗、不眠、イライラなどの症状が生じ、後期離脱症状(飲酒をやめて2、3日後に出現)には、上記に加えて幻視、見当識障害などの症状が生じます。5日ほど経過すると離脱症状は治まってきますが、離脱症状による不快感や辛さに耐えられず、再び飲酒を再開してしまう傾向にあります。基本的なアルコール依存症のメカニズムや離脱症状の基本的な症状について、理解しておけると良いでしょう。

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02

この問題で覚えておくべきポイントは以下の通りです。

飲酒をやめたときに生じる症状について問われています。

では、問題を見てみましょう。

選択肢1. 失行

間違いです。

脳梗塞など、脳の損傷により生じる症状です。

道具の使用がうまくできない、麻痺がないにもかかわらず行為ができない症状を指します。

選択肢2. 舞踏運動

間違いです。

ハンチントン病に代表される不随意運動の一つです。

自分の意思とは関係なく体が踊りをしているように動いてしまう症状を指します。

選択肢3. 振戦せん妄

正解です。

生命の危機になることもある重度の離脱症状の一つです。

手の震えだけではなく、意識混濁、幻覚などいわゆるせん妄が現れます。

選択肢4. けいれん発作

正解です。

振戦せん妄と同時に出現することもあります。生命の危機になることもある重度の離脱症状の一つです

意識消失を伴う全身のけいれんが生じます。

 

選択肢5. 羽ばたき振戦

間違いです。

肝性脳症などで主に生じる振戦です。

羽ばたき振戦テスト(手首を反らせると脱力して羽ばたくような動きをする)にて確認することもあります。

まとめ

アルコール依存症の離脱症状は、アルコールの摂取期間や摂取量、またアルコールを断ったときからの時間経過によっても様々な症状が生じます。発汗、不安、幻覚や不眠など多彩な症状がありますので、整理しておきましょう

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