公認心理師 過去問
第9回(2026年)
問1 (基礎心理学 問1)
問題文
P.Bossが提唱した概念で、認知症などにより、以前のその人とすっかり様子が変わり、身体的には存在しているが心理的に存在していないと、家族などが苦痛に感じる状態を表す概念として、最も適切なものを1つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第9回(2026年) 問1(基礎心理学 問1) (訂正依頼・報告はこちら)
P.Bossが提唱した概念で、認知症などにより、以前のその人とすっかり様子が変わり、身体的には存在しているが心理的に存在していないと、家族などが苦痛に感じる状態を表す概念として、最も適切なものを1つ選べ。
- 予期悲嘆
- 複雑性悲嘆
- 外的対象喪失
- あいまいな喪失
- 公認されない悲嘆
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この過去問の解説 (2件)
01
P. Bossが提唱した、認知症に関係する重要概念は「あいまいな喪失」です。
解答としては、「あいまいな喪失」が正解になります。
認知症では、本人は身体的にはそこにいるのに、記憶や人格の変化で家族が「以前のその人がいない」と感じることがあります。
こうした「いるのに、いないように感じる喪失」を、Bossは「あいまいな喪失」と説明しました。
家族は悲しみの整理がつきにくく、長くつらさを抱えやすいのが特徴です
本問の「身体的には存在しているが、心理的には存在していない(認知症などで以前のその人ではないと感じる)」は、まさに身体的には在るが心理的に不在というBossの代表的パターンです。
試験対策としては、
「認知症家族の“身体的には在るが心理的には不在”=あいまいな喪失」と覚えると整理しやすいです。
死や喪失が起こる前から生じる悲嘆反応です。
悲嘆が遷延・重症化して日常機能に大きな支障が続く状態です。
精神分析等で使われる一般的な喪失概念で、Bossが示した特定の理論名ではありません。
社会的に悲しみを認めてもらいにくい悲嘆です
認知症の方を抱えた家族が抱く喪失感を的確に表した言葉です。認知症について出題されるときに、良く取り上げられますので、しっかり覚えておきましょう。
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02
P.Boss(ポーリン・ボス)はアメリカの心理学者で、家族療法について研究した人です。
彼女は「あいまいな喪失」という考えを提唱したことで有名であり、この問題での正答となります。
「あいまいな喪失」とは、大切な人(家族、恋人、友人など)が「身体的には存在するけれど、心理的には存在しない」「身体的には存在しないけれど、心理的には存在している」のような状態になっていることを言います。
その例の具体例の一つが、認知症にかかっている場合です。他にも、災害で行方不明になっている、うつ病などの精神疾患にかかっているなどの状況で起こり得ます。
あいまいに喪失しているということは、その状態がいつ終わるのか分からず、長期に強いストレスが続く場合があります。他のストレスとは質が大きく異なるため、十分な理解の上での心理的ケアが重要になります。
では、他の用語についても詳しく見てみましょう。
誤りです。
「予期悲嘆」とは、自分にとって大切な人に死期が迫っているなど、別れが近づいている時に、喪失感や悲しみが生じることを言います。
誤りです。
「複雑性悲嘆」とは、大切な人と死別後、6か月以上に渡って深い悲しみが続くことを言います。このために、日常生活に支障が起きてしまうこともあります。
DSM-5₋TRでは、「遷延性悲嘆症」という名称で精神障害と分類されています。
誤りです。
「外的対象喪失」とは、大切な人との別れ、怪我や病気による健康の喪失、環境の大きな変化(引っ越し、転勤、退職など)により仕事や人間関係を失うなど、実際にある人、物、環境などを喪失することを言います。強い喪失感、悲しみが起きる場合があります。
誤りです。
「公認されない悲嘆」とは、ペットの死、子の流産や死産、愛人との別れなど、社会には理解されにくい喪失体験を言います。本人はとても深い悲しみを感じていても、相談しにくい、理解されにくいなどの事情から、孤立感や複雑な悲しみを体験する場合があります。
公認心理師は、どの分野で仕事をしていても、不意にクライエントから大きな別れの体験について話をお聴きする場合があります。悲嘆の反応や接し方について十分に学んでおくことが大切です。特に、「あいまいな喪失」「公認されない悲嘆」は、一般には理解されにくい場合がありますので、専門家として理解を深めておきましょう。
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