公認心理師 過去問
第9回(2026年)
問4 (基礎心理学 問4)
問題文
G.Engelが提案した、従来の医学モデルの考え方を補完し、人間の健康や疾患を多面的に理解するための枠組みとして、最も適切なものを1つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第9回(2026年) 問4(基礎心理学 問4) (訂正依頼・報告はこちら)
G.Engelが提案した、従来の医学モデルの考え方を補完し、人間の健康や疾患を多面的に理解するための枠組みとして、最も適切なものを1つ選べ。
- 成長モデル
- 認知行動モデル
- 多理論統合モデル
- 生物心理社会モデル
- 素因ストレスモデル
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この過去問の解説 (1件)
01
正答:生物心理社会モデル
生物心理社会モデル(Biopsychosocial Model)とは
George Engelが1977年に提唱したモデルで、健康と疾病を生物学的・心理的・社会的の三つの次元から包括的に捉える枠組みです。それまで主流だった生物医学モデルへの批判として生まれました。
三つの次元
●生物学的要因(Biological)
遺伝、神経・内分泌系、免疫機能、臓器の構造と機能など、身体的・生理的な側面。
例:遺伝的素因、炎症、ホルモンバランス
●心理的要因(Psychological)
認知・感情・行動パターン、ストレス対処、パーソナリティ、動機づけなど。
例:抑うつ、不安、ストレス認知、健康行動
●社会的要因(Social)
家族・職場・文化・経済状況・社会的サポートなど、個人を取り巻く環境。
例:貧困、孤立、差別、医療へのアクセス
三つの次元は互いに独立しているのではなく、常に影響し合っているのがポイントです。
生物的要因は身体の土台です。遺伝子の変異で特定の病気になりやすい体質が決まったり、炎症やホルモンバランスの乱れが症状として現れたりします。
心理的要因は「脳と体をつなぐ橋」のようなものです。たとえばストレスを感じると、コルチゾールというホルモンが分泌されて免疫機能が下がります。これは心理→生物という方向の影響です。逆に慢性的な痛みが続くと気持ちが落ち込む(生物→心理)こともあります。
社会的要因は見落とされがちですが、非常に重要です。孤立している人は同じ病気でも回復が遅い、経済的に苦しいと医療へのアクセスが制限されるなど、社会環境が健康に直接影響します。
Engelの提案名ではありません。医療・疫学分野での成長モデルとは、個人や集団の身体的・心理的指標が時間とともにどう変化するかを統計的に捉える枠組みです。
認知行動療法の理論枠組みで、Engelの医学モデルの概念とは別です。
1970年代末にProchaska & DiClementeが提唱した、行動変容のプロセスを段階的に説明するモデルです。「変化のステージモデル」とも呼ばれます。多理論統合モデルの最大の貢献は「人は一夜にして行動を変えられるわけではない」という洞察です。禁煙・ダイエット・運動習慣など、あらゆる行動変容には段階があり、それぞれのステージに合った支援が必要だということを示しました。
精神障害の発症理解で有名ですが、Engelの代表提案そのものではありません。
1960〜70年代にMeehlらが提唱したモデルで、「なぜ同じ出来事を経験しても、病気になる人とならない人がいるのか」を説明するための枠組みです。
生物心理社会モデルはケースを捉えるときの基本的な考え方になりますからしっかり理解しておきましょう。
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