公認心理師 過去問
第9回(2026年)
問59 (事例分析 問1)
問題文
28歳の女性A、会社員。1年ほど前、Aは特別なストレスはないものの、仕事の意欲を失い、転職を考えていた。しかし、入社時から業務の指導や相談に応じていた上司Bの推薦によって、半年前、新規プロジェクトのチームリーダーに抜てきされた。Aは当初張り切っていたが、プロジェクトは難航し、Aは集中困難や不眠など、心身の不調に陥った。このため、3か月前、Bは自らAのチームに加わった。BはAからチームリーダーとしての苦労とチームが抱える問題を聞き取り、チーム運営に関する情報を提供した。その結果、Aの体調も回復し、積極的に仕事に取り組むようになり、プロジェクトも動き始めた。
Aの変化を説明するために用いられる仮説やモデルとして、最も適切なものを1つ選べ。
付箋
付箋は自分だけが見れます(非公開です)。
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
公認心理師試験 第9回(2026年) 問59(事例分析 問1) (訂正依頼・報告はこちら)
28歳の女性A、会社員。1年ほど前、Aは特別なストレスはないものの、仕事の意欲を失い、転職を考えていた。しかし、入社時から業務の指導や相談に応じていた上司Bの推薦によって、半年前、新規プロジェクトのチームリーダーに抜てきされた。Aは当初張り切っていたが、プロジェクトは難航し、Aは集中困難や不眠など、心身の不調に陥った。このため、3か月前、Bは自らAのチームに加わった。BはAからチームリーダーとしての苦労とチームが抱える問題を聞き取り、チーム運営に関する情報を提供した。その結果、Aの体調も回復し、積極的に仕事に取り組むようになり、プロジェクトも動き始めた。
Aの変化を説明するために用いられる仮説やモデルとして、最も適切なものを1つ選べ。
-
緩衝仮説
-
接触仮説
-
感情混入モデル
-
自己評価維持モデル
-
精緻化見込みモデル
この過去問の解説 (3件)
01
本事例では、
1.Aが新規プロジェクトのチームリーダーに抜擢された。
2.しかし、プロジェクトが難航し、Aは集中困難や不眠などの心身の不調をきたした。
3.そこで、上司BがAをサポートするようになった。
4.その結果、Aの体調は回復し、プロジェクトも動き始めた。
という流れになっています。
緩衝仮説とは、ストレス状況において周囲からの支援があることで、ストレスの悪影響がやわらぐという考え方の仮説です。
よって正解です。
接触仮説とは、異なる集団同士でも、適切な交流や協力を行うことで偏見や差別が減少するという考え方の仮説です。
よって不正解です。
感情混入モデルとは、その時の感情や気分が、物事の判断や評価に影響を与えるという考え方のモデルです。
よって不正解です。
自己評価維持モデルとは、他者との比較を通して自己評価を維持しようとするという考え方のモデルです。
よって不正解です。
精緻化見込みモデルとは、人が説得される際には、中心ルート(情報を論理的に吟味して判断する経路)と、周辺ルート(話し手の印象など表面的な情報によって判断する経路)の2つの経路があるという考え方のモデルです。
よって不正解です。
参考になった数6
この解説の修正を提案する
02
ストレス状況下での上司のサポートによる心身回復・仕事への積極性の回復という変化を説明する仮説・モデルを問う事例問題です。
ソーシャルサポートに関する主要な理論の理解が求められています。
(分野:社会及び集団に関する心理学)
正解は「緩衝仮説」です。
緩衝仮説はコーエンとウィルス(Cohen & Wills)が提唱したソーシャルサポートの機能に関する理論で、ソーシャルサポートはストレスが高い状況においてのみ健康への悪影響を緩和(バッファリング)する効果を持つという考え方です。
本事例ではプロジェクト難航というストレス状況下でBが情報的・情緒的サポートを提供したことで、集中困難・不眠という心身の不調が回復しています。
ストレスがない時期(1年前)にはサポートなしで機能していた点も、ストレス状況特有のサポート効果という緩衝仮説の特徴と合致します。
オルポート(Allport)が提唱した偏見低減に関する理論で、一定の条件(対等な立場・共通目標・制度的支援等)のもとで異なる集団間の直接接触が偏見・差別を低減するという仮説です。
集団間関係の改善を説明するものであり、個人のストレス緩衝とは無関係です。
フォーガス(Forgas)が提唱したモデルで、意思決定や判断に感情状態が混入・影響する程度は情報処理の深さによって異なるという理論です。
感情が認知・判断に与える影響を説明するものであり、本事例のサポートによるストレス緩衝とは異なります。
テッサー(Tesser)が提唱したモデルで、他者の成功が自己評価に与える影響を関係の親密さと課題の自己関連性によって説明する理論です。
比較・反射プロセスを通じた自己評価の維持を扱うものであり、本事例のストレス緩衝とは異なります。
ペティとカシオッポ(Petty & Cacioppo)が提唱した説得・態度変容のモデルで、中心ルート(論拠の精緻化処理)と周辺ルート(手がかりによる処理)の2経路を説明するものです。
説得・態度変容の文脈で用いられ、ストレス緩衝とは無関係です。
本問のポイントは「ストレス状況下でのサポートによる心身回復」というパターンから緩衝仮説を想起できるかです。
ソーシャルサポートの理論には緩衝仮説(ストレス時のみ効果)と直接効果仮説(ストレスの有無に関わらず健康に直接効果)の2つがあり、対比して整理しておくことが重要です。
本事例ではストレスのない時期には問題がなかった点が緩衝仮説の根拠となっており、この読み取りが正答の鍵となります。
参考になった数0
この解説の修正を提案する
03
この問題で覚えておくポイントは以下の通りです。
様々な心理学理論と本問題ではストレッサーの対処に関する理論についての理解が求められています。
では、問題を見てみましょう。
正解です。
Cohen & Wills(1985)によって提唱されたストレス対処のモデルです。
ストレスにより不健康になる流れを、社会的(人的・物的)支援により弱める、不健康にならなくなることを示しています。
本問題では、Bの存在が社会的支援にあたります。
間違いです。
1954年に Gordon Allport が提唱した理論で、偏見を解消するための過程が示されています。
間違いです。
社会心理学者 Joseph P. Forgas によって提唱された理論で、判断や意思決定に自分自身の感情がどのように影響を及ぼすか、を説明しています。
間違いです。
Abraham Tesser によって提唱されたモデルで、他者の成功体験が自分自身へどのように影響を及ぼすかについて示しています。
間違いです。
Petty & Cacioppo(1986)が提唱したモデルで、他者の行動変容をもたらす説得をするときのシステムについて示しています。
物事の捉え方、対処方法の思考過程は、様々なモデル、理論で示されています。類似しているものも多いので、比較しながら丁寧に整理しておきましょう。
参考になった数0
この解説の修正を提案する
前の問題(問58)へ
第9回(2026年) 問題一覧
次の問題(問60)へ