公認心理師 過去問
第9回(2026年)
問64 (事例分析 問6)
問題文
10歳の女児A、小学4年生。登校しぶりを心配した母親Bに伴われて教育相談室を訪れた。Bによると、Aは学習意欲が高く、以前は学校を楽しんでいたが、1か月ほど前から朝になると腹痛や頭痛を訴えることが増えている。家庭ではBを手伝い、衣類や食器を整然と並べることを好む。また、家族の予定が変わると不安になり、繰り返し確認することもある。元来、食べ物の好き嫌いは多かったが、3か月ほど前、給食で苦手な食材を友達から無理に食べさせられたことをきっかけに、食べ物全般への拒否感が出現した。その後、匂いや食感に敏感になり、食事の量が減少し、体重も低下しているという。
Aの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第9回(2026年) 問64(事例分析 問6) (訂正依頼・報告はこちら)
10歳の女児A、小学4年生。登校しぶりを心配した母親Bに伴われて教育相談室を訪れた。Bによると、Aは学習意欲が高く、以前は学校を楽しんでいたが、1か月ほど前から朝になると腹痛や頭痛を訴えることが増えている。家庭ではBを手伝い、衣類や食器を整然と並べることを好む。また、家族の予定が変わると不安になり、繰り返し確認することもある。元来、食べ物の好き嫌いは多かったが、3か月ほど前、給食で苦手な食材を友達から無理に食べさせられたことをきっかけに、食べ物全般への拒否感が出現した。その後、匂いや食感に敏感になり、食事の量が減少し、体重も低下しているという。
Aの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
-
うつ病
-
強迫症
-
社交不安症
-
神経性やせ症
-
回避・制限性食物摂取症
この過去問の解説 (3件)
01
本事例でAは、
給食で苦手な食材を友達から無理に食べさせられたことによって、
●食べ物全般への拒否感の出現
●匂いや食感に過敏になる
●食事量の減少
●体重の低下
という経過をたどっています。
これは、食べ物に対する恐怖感や過敏性によって食事自体を回避する「回避・制限性食物摂取症」の特徴に当てはまります。
不正解です。
本事例では、うつ病にもみられる食欲の低下がありますが、その原因は「無理に食べさせられた」ことによるものであり、回避・制限性食物摂取症が適当といえます。
不正解です。強迫症は、気にしたくなくても気にしてしまう考え(強迫観念)と、その考えを打ち消すために行動(強迫行為)を繰り返してしまう症状です。
本事例では、確認行動についての記載はあるものの、症状の中心は食べ物全般の拒否と、食べ物に対する過敏性であるため、回避・制限性食物摂取症の方が適切といえます。
不正解です。社交不安症とは、人前で注目される場面などで、他者から否定的な評価を受けることへの強い不安によって、日常生活に支障をきたす病気です。
不正解です。神経性やせ症は、太ることの恐怖ややせ願望が症状としてみられます。
本事例では無理に食べさせられたことによる食べ物全般への拒否感と匂いや食感の過敏さが原因です。
冒頭の解説のとおり、正解です。
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02
特定のきっかけによる食物拒否感・匂いや食感への過敏性・食事量減少・体重低下を呈する10歳女児の病態を問う事例問題です。
DSM-5における摂食・食行動障害の鑑別能力が求められています。
(分野:精神疾患とその治療)
正解は「回避・制限性食物摂取症」です。
抑うつ気分・興味喪失・睡眠障害・無気力を中核症状とします。
食欲低下・体重減少はうつ病でも見られますが、本事例では特定のトラウマ体験を契機とした食物への嫌悪・感覚過敏が主軸であり、抑うつ症状の記述はありません。
繰り返し確認する行動・整然と並べることを好む記述は強迫症を想起させますが、これらはASD特性(感覚過敏・こだわり)として理解するほうが本事例全体の病態に合致します。
他者からの否定的評価への恐怖・対人場面での強い不安・回避を特徴とします。
本事例の食物回避は対人評価への恐怖ではなく食物そのものへの嫌悪・感覚過敏が原因であり該当しません。
体重増加への強い恐怖・体重・体型への認知の歪み・低体重を特徴とします。
本事例には体重・体型への懸念という記述がなく、食物回避の理由は感覚過敏とトラウマ体験であるため鑑別されます。
体重低下はあるものの動機が異なる点が決定的な違いです。
DSM-5で新設された診断概念で、体重・体型への懸念ではなく
①食物への嫌悪・恐怖
②感覚的特性への過敏
③食への関心の欠如を主な理由として食物摂取を回避・制限する障害です。
本事例では給食での強制摂取というトラウマ的体験をきっかけに食物全般への拒否感が生じ、匂い・食感への過敏性・食事量減少・体重低下が確認されており、診断基準に合致します。
本問のポイントはARFIDと神経性やせ症の鑑別で、「体重・体型への認知の歪みがあるか」が分岐点です。ARFIDは感覚過敏・食物への嫌悪・トラウマ体験が食物回避の理由であり、やせへの動機付けはありません。
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03
この問題で覚えておくポイントは以下の通りです。
精神症状から病態を探ること、その根拠について問われています。
では、問題を見てみましょう。
間違いです。
確かに、体重減少を生じますが、それ以外に抑うつ状態であること、興味・関心がなくなることなどが診断基準です。
間違いです。
何らかの強迫観念、強迫行為が1時間以上続くことが診断基準です。
間違いです。
確かに、社会的な交流に関して不安を生じることは当てはまりますが、自分が行った行為に対し、否定的な評価を受けることへの不安感が診断基準となります。
間違いです。
確かに、食べることの著しい体重減少は生じますが、その理由は体重増加への強い恐怖心などですので、当てはまりません。
正解です。
食事摂取が困難になりますが、その背景に体重や体形に対する歪んだ考え方がないことが診断条件となります。
食事摂取が困難になり、体重減少する症状を持つ精神疾患は、多いです。
背景にも着目して病態を整理しておきましょう。
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