公認心理師 過去問
第9回(2026年)
問66 (事例分析 問8)
問題文
21歳の女性A、大学生。半年ほど前、親しい友人Bから「ときどき、話している相手がAじゃないように感じる」と言われた。それ以来、Bとの関係が次第にぎくしゃくしてきたことが気になり、大学の学生相談室を訪れた。Aによると、以前、気が付くと見知らぬカフェで見覚えのない人と話しており、パニックになったことがある。その際、財布の中には立ち寄った覚えのない店のレシートが入っており、買い物リストの筆跡も自分とは異なっていたという。面談室では、声のトーンや話し方が別人のように急変する場面があったが、Aはそのことを後で説明されても思い出せず、混乱していた。
Aの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第9回(2026年) 問66(事例分析 問8) (訂正依頼・報告はこちら)
21歳の女性A、大学生。半年ほど前、親しい友人Bから「ときどき、話している相手がAじゃないように感じる」と言われた。それ以来、Bとの関係が次第にぎくしゃくしてきたことが気になり、大学の学生相談室を訪れた。Aによると、以前、気が付くと見知らぬカフェで見覚えのない人と話しており、パニックになったことがある。その際、財布の中には立ち寄った覚えのない店のレシートが入っており、買い物リストの筆跡も自分とは異なっていたという。面談室では、声のトーンや話し方が別人のように急変する場面があったが、Aはそのことを後で説明されても思い出せず、混乱していた。
Aの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
-
てんかん
-
解離性健忘
-
統合失調症
-
一過性全健忘
-
解離性同一症
この過去問の解説 (3件)
01
本事例でAは、
●親しい友人Bから「話している相手がAじゃないように感じる」と言われる
●気が付くと見知らぬカフェで見覚えのない人と話している
●立ち寄った覚えのない店のレシートが入っている
●買い物リストの筆跡も自分とは異なっている
●声のトーンや話し方が別人のように急変する
など、A自身の記憶にない行動と別人のような言動がみられます。
このことから、複数の人格が現れている可能性が示唆され、これは解離性同一症の特徴に当てはまります。
不正解です。
てんかんとは、脳の異常な電気活動によっててんかん発作が起きる疾患です。発作中本人は記憶がないことが多いですが、本事例ではてんかん発作の記載はありません。
不正解です。
解離性健忘とは、強いストレスがかかることで自身についてや出来事を忘れてしまう症状です。
本事例では、記憶障害だけでなく、別の人格の存在が示唆される言動等があるため、解離性同一症の方が適切であるといえます。
不正解です。
統合失調症では、幻聴や幻覚(陽性症状)や意欲の低下、感情鈍麻(陰性症状)などがみられます。
本事例では、人格の変化や記憶障害が症状の中心であるため、解離性同一症の方が適切であるといえます。
不正解です。
一過性全健忘とは、突然新しい記憶を保持できなくなる状態です。通常は24時間以内に改善するため、本事例のような人格の変化はみられません。
冒頭の解説のとおり、正解です。
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02
別人格の存在・記憶の空白・筆跡の変化・面談中の人格交代を呈する21歳女性の病態を問う事例問題です。
DSM-5における解離症群の鑑別能力が求められています。
(分野:精神疾患とその治療)
正解は「解離性同一症」です。
大脳の過剰放電による発作性疾患で、意識消失・痙攣・自動症等を呈します。
記憶の空白という点で類似しますが、てんかんの自動症は短時間で常同的な行動パターンを示すものであり、別人格の存在・異なる筆跡・複数の人物としての行動という解離性同一症の特徴とは明確に異なります。
心理的ストレスに関連した重要な自伝的情報の想起不能を特徴とする解離症です。記憶の空白という点で解離性同一症と重複しますが、解離性健忘では複数の別個のパーソナリティ状態の存在・人格交代・異なる筆跡という特徴は示されません。
幻覚・妄想・解体した思考・陰性症状を中核とする精神疾患です。
「話している相手がAじゃないように感じる」という記述が離人感・作為体験として解釈される可能性がありますが、本事例の症状は幻覚・妄想ではなく別人格の存在と健忘による解離症状として理解するほうが適切です。
突然発症し24時間以内に回復する一時的な記憶障害で、中高年に多く血管性の原因が示唆されています。
DSM-5における解離症群のひとつで、
①2つ以上の別個のパーソナリティ状態の存在、②反復的な記憶の空白(健忘)が中核症状です。
本事例では「話している相手がAじゃないように感じる(他者が認識する人格交代)」「気が付くと見知らぬカフェにいた(健忘を伴う遁走)」「異なる筆跡の買い物リスト(別人格による行動)」「面談中の声・話し方の急変(人格交代)」「交代後の記憶がない(解離性健忘)」という複数の解離性同一症の中核症状が揃っており、診断基準に合致します。
本問のキーワードは「別個のパーソナリティ状態(人格交代)」と「繰り返す記憶の空白(解離性健忘)」の2点セットであり、これが揃えば解離性同一症と判断できます。
DES(解離体験尺度)でのアセスメント・トラウマ歴との関連とあわせて整理しておくと類似問題に対応できます。
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03
この問題で覚えておくポイントは以下の通りです。
人格が複数存在するかのようにみられる病態をもつ疾患について問われています。
では、問題を見てみましょう。
間違いです。
確かに発作中に、別人格のような振舞いをしますが、その発作の状況、不随意運動の出現など身体所見が特徴的です。
間違いです。
確かに特定の記憶がなくなる、個人が別人格であるという点では臨床症状は似ていますが、忘れる内容は、対象を攻撃するストレス要因ですので異なります。
間違いです。
主症状である幻覚や妄想が出現していません。
間違いです。
確かに記憶障害が生じますが、24時間以内には回復する病態です。
正解です。
二つ以上の異なる人格が存在し、通常では説明できない記憶の消去(欠落)を伴います。
類似した臨床症状はあるため、各病態の診断基準について、しっかり整理しておきましょう。
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