公認心理師 過去問
第9回(2026年)
問68 (事例分析 問10)
問題文
70歳の男性A、元会社員。定年退職後も嘱託として働いている。最近、元気がなくなったことを心配した妻Bと共に、精神科クリニックを受診した。Bによると、6か月ほど前から口数が減り、身体が動くにもかかわらず、趣味の庭仕事にも関心を示さなくなった。Bが誘っても、Aは「また今度」とだけ話し、興味を失っている様子である。たまに庭仕事に出てきても段取りが悪い。糖尿病の服薬管理や金銭管理は自立できているが、通院日を間違えることがあるという。診察室でAは、「近頃、物忘れが多くなったので、メモ帳が欠かせなくなりました」と心配そうに語る。夜は眠れており、食欲も変わらないという。
Aの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第9回(2026年) 問68(事例分析 問10) (訂正依頼・報告はこちら)
70歳の男性A、元会社員。定年退職後も嘱託として働いている。最近、元気がなくなったことを心配した妻Bと共に、精神科クリニックを受診した。Bによると、6か月ほど前から口数が減り、身体が動くにもかかわらず、趣味の庭仕事にも関心を示さなくなった。Bが誘っても、Aは「また今度」とだけ話し、興味を失っている様子である。たまに庭仕事に出てきても段取りが悪い。糖尿病の服薬管理や金銭管理は自立できているが、通院日を間違えることがあるという。診察室でAは、「近頃、物忘れが多くなったので、メモ帳が欠かせなくなりました」と心配そうに語る。夜は眠れており、食欲も変わらないという。
Aの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
-
うつ病
-
軽度認知障害
-
持続性抑うつ障害
-
前頭側頭型認知症
-
レヴィ小体型認知症
この過去問の解説 (3件)
01
本事例では、Aは
●6か月ほど前から口数が減った
●趣味の庭仕事にも関心を示さなくなった
などと、意欲の低下がみられます。
また、
●庭仕事の段取りが悪い
●通院日を間違える
●「物忘れが多くなった」と感じている
などと、認知機能の低下がみられます。
一方で
●糖尿病の服薬管理や金銭管理は自立できている
ことから、日常生活は比較的支障なく過ごせています。
そのため、軽度認知障害が最も適切であると考えられます。
不正解です。
本事例でも意欲の低下はありますが、物忘れや段取りの悪さなど認知機能の低下が中心となっています。
冒頭の解説のとおり、正解です。
不正解です。
持続性抑うつ障害とは、慢性的に抑うつ症状が持続する障害です。
不正解です。
前頭側頭型認知症では、人格変化や脱抑制(我慢ができなくなる)、常同行動(同じ行動を繰り返す)などがみられます。また、初期では物忘れはあまりみられません。
不正解です。
レヴィ小体型認知症では、幻視やパーキンソン症状が特徴的です。
主な認知症である
●アルツハイマー型認知症
●脳血管性認知症
●レヴィ小体型認知症
●前頭側頭型認知症
の特徴については理解しておきましょう。
合わせて、軽度認知障害の違いや、治療可能な認知症(正常圧水頭症など)も押さえておくと理解が深まります。
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02
物忘れの自覚・段取りの悪さ・趣味への関心低下を示す70歳男性の病態を問う事例問題です。
認知症・うつ病・軽度認知障害の鑑別能力が求められています。
(分野:精神疾患とその治療)
正解は「軽度認知障害」です。
抑うつ気分・興味喪失・不眠・食欲低下・希死念慮を中核症状とします。
口数減少・趣味への無関心はうつ病を想起させますが、本事例では不眠・食欲低下という身体症状がなく、物忘れの自覚・段取りの悪さという認知機能低下が主軸であるため、うつ病より認知機能障害として理解するほうが適切です。
認知症の前段階とされる状態で、①本人または家族が認知機能の低下を訴える②客観的な認知機能の低下がある③日常生活動作(ADL)は概ね自立している④認知症の診断基準は満たさないという4点が特徴です。
本事例では「物忘れが多くなった(本人の自覚)」「通院日を間違える(記憶機能の低下)」「庭仕事の段取りが悪い(遂行機能の低下)」がある一方、「服薬管理・金銭管理は自立」「夜は眠れている・食欲も変わらない」という日常生活の概ねの自立が確認されており、特徴と合致します。
2年以上持続する慢性的な抑うつ状態を特徴とします。
本事例の症状は6か月の経過であり持続性抑うつ障害の時間基準(2年以上)を満たさず、また認知機能低下が主症状である点でも合致しません。
前頭葉・側頭葉の萎縮により人格変化・脱抑制・常同行動・言語障害を特徴とする認知症です。
本事例には脱抑制・反社会的行動・常同行動という前頭側頭型の特徴的症状がなく、本人が物忘れを自覚して心配している点(自己認識の保持)も前頭側頭型とは異なります。
認知機能の変動・繰り返す幻視・パーキンソニズムを三大特徴とする認知症です。
本事例には幻視・パーキンソン症状(振戦・歩行障害等)の記述がなく該当しません。
本問のポイントは「認知機能の低下(物忘れ・段取り)はあるがADLは自立している」という状態から軽度認知障害を識別することです。
うつ病との鑑別では「不眠・食欲低下という身体症状の有無」と「認知機能低下が主軸か・気分症状が主軸か」が分岐点となります。
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03
この問題で覚えておくポイントは以下の通りです。
認知機能の低下と他の精神疾患との鑑別も含めた病態について問われています。
では、問題を見てみましょう。
間違いです。
確かに、興味関心の薄れは該当しますが、抑うつ状態や食欲の変化がありません。
正解です。
いわゆるMCIのことです。日常生活動作の自立は保たれ、金銭管理などの複雑な行為は可能であるものの、記憶障害が生じている状態を指します。
間違いです。
慢性的(2年以上)な抑うつ状態を指します。睡眠も食欲が保たれているため、該当しません。
間違いです。
食事の趣向の変化もありませんし、人格変化が生じていません。確定診断は画像診断が必要です。
間違いです。
日常生活動作の自立が保たれていますし、幻視や夢をみたものをそのまま現実として行動化していません。
なんとなくやる気が低下した状態、という漠然とした臨床所見にも、様々な疾患が隠れています。
それぞれの病態に特徴的な症状を整理しておきましょう。
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