公認心理師 過去問
第9回(2026年)
問71 (事例分析 問13)
問題文
15歳の女子A、中学3年生。担任教師の勧めで、母親と共に教育相談センターに来談した。Aは小学生の頃から、テストの点は常に悪く、身支度に時間を要して遅刻が多かったが、明るい性格で、学校生活に問題はなかった。中学生になり、バレーボール部に所属した。Aは当初、フォーメーションの理解に苦労したが、優れた身体能力を活かし、チームに貢献した。高校でもバレーボールを続けることを希望している。一方で、部内で金銭の不適切な貸借が判明した際、Aだけが損をしていることに気付いていなかったことがある。全ての科目の成績は学年最下位付近で低迷が続いている。
Aの状態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第9回(2026年) 問71(事例分析 問13) (訂正依頼・報告はこちら)
15歳の女子A、中学3年生。担任教師の勧めで、母親と共に教育相談センターに来談した。Aは小学生の頃から、テストの点は常に悪く、身支度に時間を要して遅刻が多かったが、明るい性格で、学校生活に問題はなかった。中学生になり、バレーボール部に所属した。Aは当初、フォーメーションの理解に苦労したが、優れた身体能力を活かし、チームに貢献した。高校でもバレーボールを続けることを希望している。一方で、部内で金銭の不適切な貸借が判明した際、Aだけが損をしていることに気付いていなかったことがある。全ての科目の成績は学年最下位付近で低迷が続いている。
Aの状態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
-
限局性学習症
-
軽度知的発達症
-
高次脳機能障害
-
注意欠如多動症
-
自閉スペクトラム症
この過去問の解説 (3件)
01
本事例でAは
●小学生の頃から、テストの点は常に悪かった
●全ての科目の成績は学年最下位付近
など、幼少期より全般的に学業成績は悪かったことがわかります。
また、
●身支度に時間を要して遅刻が多かった
●(バレーボール)のフォーメーションの理解に苦労した
●部内で金銭の不適切な貸借が判明した際、自分だけが損をしていることに気付いていなかった
など、抽象的な理解や時間管理・金銭管理など、学業以外の面においても困難がみられます。
一方で、
●明るい性格で、学校生活に問題はなかった
●(バレーボールで)優れた身体能力を活かし、チームに貢献した
など、対人関係や運動面に大きな問題はみられません。
このことより、知的能力だけでなく、日常生活や社会生活を送る力にも困難がみられる軽度知的発達症が最も適切と考えられます。
不正解です。
極限性学習症は、知的能力には問題はない一方で、読み書きや計算など特定の学習能力に困難がみられる障害です。
冒頭の解説のとおり、正解です。
不正解です。
高次脳機能障害は、外傷などにより脳が損傷し、認知機能に障害が生じる状態のことです。
不正解です。
注意欠如多動症は、注意力が散漫になる、じっとすることが苦手、衝動的であるなどの症状から、忘れ物や遅刻などがみられます。
本事例でも遅刻が多いなど、共通の特徴はありますが、全般的に学業成績が悪いなど知的能力の問題が中心の症状となっているため、軽度知的発達症の方が適切です。
不正解です。
自閉スペクトラム症では、コミュニケーションの苦手さやこだわり、感覚過敏などが症状としてみられます。
本事例では、対人関係は良好で、自閉スペクトラム症の特徴は目立ちません。
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02
全科目の成績低迷・金銭的損失への気づきのなさ・身支度の遅れを示す一方で身体能力は優れている15歳女子の病態を問う事例問題です。
知的発達症と類似した特徴を持つ各障害との鑑別能力が求められています。
(分野:障害者(児)の心理学)
正解は「軽度知的発達症」です。
読み・書き・算数という特定の学習領域のみに困難が生じる障害で、全般的な知的機能は平均域です。
本事例では全科目の成績低迷という全般的な学習困難が示されており、特定領域のみの困難という限局性学習症の定義には合致しません。
DSM-5において知的機能(推論・問題解決・計画・抽象的思考・判断・学習等)の制約と適応行動の制限が発達期から存在する状態と定義されます。
本事例では全科目の成績が学年最下位付近(知的機能の全般的な制約)・フォーメーション理解の困難(抽象的思考の制限)・金銭的損失への気づきのなさ(日常的な判断・適応行動の制限)・身支度の遅れ(適応行動の制限)という複数の領域にわたる困難が示されています。
一方で身体能力の優秀さ・明るい性格・部活への貢献という強みも示されており、軽度知的発達症の臨床像と合致します。
脳損傷(外傷・脳血管障害等)を原因とする後天的な記憶・注意・遂行機能・社会的行動の障害です。
本事例には脳損傷の記述がなく、小学生の頃からの継続的な困難という発達期からの経過は高次脳機能障害(後天性)とは異なります。
不注意・多動性・衝動性を中核症状とする神経発達症です。
本事例には授業中の離席・衝動的行動・不注意による失敗という典型的なADHD症状の記述がなく、全般的な学習困難・適応行動の制限が主体である点でADHDより軽度知的発達症として理解するほうが適切です。
社会的コミュニケーションの困難・限定的反復的行動パターンを中核症状とします。
本事例では明るい性格・チームへの貢献・友人関係における問題という対人関係の記述が乏しく、ASDの中核症状である社会的コミュニケーションの質的障害は示されていません。
本問のポイントは「全般的な知的機能の制約(全科目低迷)」と「適応行動の制限(金銭管理・身支度)」が複数領域にわたる点から軽度知的発達症を識別することです。
軽度知的発達症は支援が適切であれば社会参加・就労が可能であり、本事例のような身体能力・明るさという強みに着目したストレングスベースのアセスメントが重要です。
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03
この問題で覚えておくポイントは以下の通りです。
生徒の状態から病態を整理する能力が問われています。
では、問題を見てみましょう。
間違いです。
ある特定の学問領域だけが学習できない状態を指し、他は正常であること指しますが、Aは全般的な知的低下が疑われます。
正解です。
知的発達症は知的機能・社会適応能力に何らかの障害があり、この症状が18歳未満に出現する病態を指します。
軽度知的発達症は、支援があれば日常生活動作は普通に送ることができる、最も軽い知的発達症のことです。
間違いです。
脳の何らかの損傷により、高度な認知機能(記憶・注意・遂行機能など)の障害を有し、生活や対人関係に支障ができる病態です。
間違いです。
対人場面や学習などに影響を及ぼしてはいますが、注意の持続や衝動的な行動は伴っていません。
間違いです。
発達障害であり、確かに社会的なコミュニケーションの困難さはありますが、行動や興味のこだわりはありません。
発達障害の病態は類似している点も多く、確定診断に必要な要素を、整理して覚えておき、診断内容を確認していきましょう。
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