公認心理師 過去問
第9回(2026年)
問73 (事例分析 問15)
問題文
15歳の男子A、中学3年生。数学の授業内容は理解できるが、テストでケアレスミスが多いことを気にしていた。教師がいくつかの学習方略を教えたところ、Aは「今月中に、毎週の小テストでケアレスミスを1つ以下にする」という目標を自ら設定し、問題を解くときには「注意すべき箇所に印を付ける」、「必ず検算する」という方略を用いることに決めた。毎日の宿題でもそれらの方略を用いるよう意識した。毎週の小テスト後、ケアレスミスの数を数え、どこでミスをしたかを自ら確認し、学習計画を見直しながら、意欲を維持している。
このAの取組の背景となる心理学概念として、最も適切なものを1つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第9回(2026年) 問73(事例分析 問15) (訂正依頼・報告はこちら)
15歳の男子A、中学3年生。数学の授業内容は理解できるが、テストでケアレスミスが多いことを気にしていた。教師がいくつかの学習方略を教えたところ、Aは「今月中に、毎週の小テストでケアレスミスを1つ以下にする」という目標を自ら設定し、問題を解くときには「注意すべき箇所に印を付ける」、「必ず検算する」という方略を用いることに決めた。毎日の宿題でもそれらの方略を用いるよう意識した。毎週の小テスト後、ケアレスミスの数を数え、どこでミスをしたかを自ら確認し、学習計画を見直しながら、意欲を維持している。
このAの取組の背景となる心理学概念として、最も適切なものを1つ選べ。
-
制御焦点
-
潜在学習
-
発見学習
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自己調整学習
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アンダーマイニング効果
この過去問の解説 (3件)
01
本事例でAは、
●ケアレスミスを1つ以下にする」という目標を自ら設定
●問題を解くときには「注意すべき箇所に印を付ける」、「必ず検算する」という方略を用いる
●毎週の小テスト後、ケアレスミスの数を数え、どこでミスをしたかを自ら確認する
●学習計画を見直す
など、A自ら苦手の改善に向けた学習目標を立て、結果を振り返りながら学習方法を調整しています。
これは、自己調整学習の特徴に当てはまります。
不正解です。
制御焦点理論とは、人は目標を達成するために、
●ポジティブな結果を目指す促進焦点
●ネガティブな結果を回避する予防焦点
の2つの焦点から行動を調整する理論です。
不正解です。
潜在学習とは、学習するつもりがなくとも無意識に学習が成立している現象のことです。
不正解です。
発見学習とは、正解を直接教わるのではなく、学習者自身が考え、試行錯誤することで知識を発見していく学習方法です。
冒頭の解説のとおり、正解です。
不正解です。
アンダーマイニング効果とは、もともと内発的動機づけによって自発的に行っていた行動に対して、外的報酬(ご褒美や評価など)を与えると、その報酬がなくなったときに内発的動機づけが報酬を与える前よりも低下する現象です。
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02
目標設定・方略の選択・自己モニタリング・計画見直しという一連の学習プロセスを自律的に行う15歳男子の取組の背景となる概念を問う問題です。
教育心理学における自己調整学習の理解が求められています。
(分野:教育に関する心理学)
正解は「自己調整学習」です。
ヒギンズ(Higgins)が提唱した動機づけ理論で、向上焦点(理想の実現を目指す)と予防焦点(損失・失敗の回避を目指す)の2種類の動機づけ方向性を説明する概念です。
本事例の学習プロセス全体を説明する枠組みとしては不十分です。
トールマン(Tolman)が提唱した概念で、強化なしに生じる学習が後に強化が与えられたときに顕在化する現象を指します。
本事例ではAが意識的に方略を使用・モニタリングしており、無意識・強化なしという潜在学習の特徴とは異なります。
ブルーナー(Bruner)が提唱した教授法で、学習者が自ら知識・原理を発見する過程を重視する学習方法です。
本事例では教師から学習方略を教わっており、学習者の自発的発見を中心とする発見学習の定義とは異なります。
ジマーマン(Zimmerman)らが提唱した概念で、学習者が①目標設定②方略の選択・使用③自己モニタリング④自己評価・調整という一連のサイクルを能動的に遂行する学習プロセスを指します。
本事例ではAが「今月中にケアレスミスを1つ以下にする(目標設定)」「印付け・検算という方略の選択」「小テスト後のミス数確認(自己モニタリング)」「学習計画の見直し(自己調整)」という自己調整学習の全サイクルを実践しており、概念と完全に合致します。
デシ(Deci)が示した現象で、内発的動機づけによって行われていた活動に外的報酬を与えると内発的動機づけが低下する効果を指します。
本事例ではAが意欲を維持しており、動機づけの低下という現象は示されていません。
自己調整学習のキーワードは「目標設定・方略選択・自己モニタリング・自己調整」の4点サイクルです。
本問ではこの4要素が全て事例文に明示されており、これを識別できるかが正答の鍵となります。
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03
この問題で覚えておくポイントは以下の通りです。
様々な心理学概念の臨床像について問われています。
では、問題を見てみましょう。
間違いです。
アメリカの心理学者ハイダーが提唱した理論で、人が何かを得たいと思ったときに、得たいものに向かって行動するのか、失わないように守ろうとするのか、基本指針の違いに着目しています。
間違いです。
報酬がない状態でも、学習しようと身構えなくても経験を積み、学習し続けられているという学習です。確かに自ら課題を設定し対策を講じてはいますが、学習しようとしている点で該当しません。
間違いです。
ブルーナーが提唱した学習理論で、試行錯誤しながら解決策を見つけていく手法です。確かにA自身で方策を決めていく状況ですが、提案は指導者が行っており、Aはその候補から解決策を選択したにすぎません。
正解です。
自らどのように学習するか計画を立てて実行する学習方法です。
間違いです。
自発的に行っていたことを褒められることでやる気を逸してしまう効果を指します。
様々な学習は類似しており、条件が複雑です。丁寧に内容を覚えておきましょう。
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