公認心理師 過去問
第9回(2026年)
問137 (事例検討 問1)

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問題

公認心理師試験 第9回(2026年) 問137(事例検討 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

重力についての乳児の理解を調べる実験を行った。まず、乳児に、2つの箱が床に縦に積まれた形で置かれている様子を見せた。そして、乳児の目の前で、下段の箱を横から引き抜いた。その際、上段の箱が、条件Aでは重力に従って床に落ち、条件Bでは重力に逆らって宙に浮いたように見えるようにした。条件Aと条件Bの試行を別々に行い、上段の箱に対する乳児の注視時間を条件間で比較した。
この研究手法の名称として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 恒常法
  • 期待違反法
  • 選好注視法
  • 振り向き法
  • 馴化−脱馴化法

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この過去問の解説 (3件)

01

正しい選択肢は、「期待違反法」です。

選択肢1. 恒常法

恒常法は、心理物理学で使われる方法で、いろいろな強さの刺激を何度も示し、どのくらいの強さなら感じ取れるかを調べる方法です。
たとえば、音の大きさや光の明るさを少しずつ変えて、反応を調べる場合に使われます。

選択肢2. 期待違反法

正解です。

期待違反法では、乳児が予想していると考えられる出来事と、その予想に反する出来事を見せます。
そして、乳児がどちらを長く見るかを調べます。

この問題では、下の箱を引き抜いたとき、上の箱が床に落ちるのは自然です。
一方、上の箱が宙に浮いたように見えるのは、重力に反する不自然な出来事です。
乳児が不自然な場面を長く見るなら、乳児が重力に関する期待を持っている可能性があると考えます。

選択肢3. 選好注視法

選好注視法は、2つ以上の刺激を同時に見せて、乳児がどちらを長く見るかを調べる方法です。
たとえば、顔の絵と模様を同時に見せ、どちらを好んで見るかを調べるような場合です。
今回の問題は、2つの刺激を同時に見せて好みを調べているのではなく、自然な出来事と不自然な出来事への反応を比べています。

選択肢4. 振り向き法

振り向き法は、音などの刺激に対して、乳児がそちらを向くかどうかを調べる方法です。
たとえば、左右どちらかから音を出して、乳児が振り向くかを確認する場合に使われます。

選択肢5. 馴化−脱馴化法

馴化−脱馴化法は、同じ刺激をくり返し見せて反応が弱くなった後、新しい刺激を見せて反応が戻るかを調べる方法です。
乳児が前の刺激と新しい刺激を区別しているかを調べるときに使います。

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02

乳児の認知能力(物理的因果律の理解)を測定する実験パラダイムについての発達心理学の研究方法知識を問う問題です。
(分野:発達)
正答は「期待違反法」です。

選択肢1. 恒常法

精神物理学的測定法のひとつで、閾値(感覚の境界値)を求めるために複数の刺激を無作為に呈示し反応を集計する手法です。乳児の認知研究ではなく成人の感覚・知覚研究で主に用いられており、注視時間を指標とする本問とは全く異なります。

選択肢2. 期待違反法

乳児が「起こるはずのない事象」に対してより長く注視するという原理を利用します。本問では条件B(宙に浮く)が物理的に不自然な事象であり、乳児がこれを「期待に反する」と認識していれば注視時間が長くなります。この注視時間の差を根拠に、乳児が重力という物理法則をある程度理解していると推論する手法です。

選択肢3. 選好注視法

2つの刺激を同時呈示し乳児がどちらをより長く注視するかで刺激間の弁別能力や好みを調べます。本問は刺激を同時呈示して比較するのではなく、「期待に反する事象への反応」を測定する点で異なります。

選択肢4. 振り向き法

条件付けを利用した手法で、音などの標的刺激に対して乳児が振り向く反応を指標に聴覚弁別能力等を測定します。視覚的な注視時間を指標とする本問とは測定方法・目的が異なります。

選択肢5. 馴化−脱馴化法

同一刺激を繰り返し呈示して注視時間が減少(馴化)した後、新奇刺激を呈示して注視時間が回復(脱馴化)するかを測定します。新旧刺激の弁別能力を調べる手法であり、本問のように「物理法則への期待」を検証する設計とは目的が異なります。

まとめ

乳児研究の手法は注視時間を指標とするものが複数あり、正しく区別して理解することが必要です。整理の軸は「何を調べているか」で、

選好注視法=刺激の好み・弁別

馴化-脱馴化法=新奇性への反応・弁別

期待違反法=物理的知識・概念理解と分類できます。

本問は「重力という物理法則への期待」を測定している点が期待違反法の決め手です。

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03

発達心理学に関する出題です。

選択肢1. 恒常法

絶対閾(感知できる最小刺激)、弁別閾(区別できる最小の差)、等価刺激の測定を目的とした心理物理学測定法です。

ここでは、乳児の注視時間を条件間で比較しており、上記を測定する目的ではありませんので非該当です。

選択肢2. 期待違反法

「予測に反した現象を見る」とは「期待が裏切られた時の反応」として注視時間が長くなる傾向にあります。

まさに、期待違反法の説明として該当です。

 

選択肢3. 選好注視法

これは「好ましい方を長く見る」傾向から興味関心を測定する技法ですので非該当です。

選択肢4. 振り向き法

特定の刺激(音や声掛けなど)への反応を観察するものです。今回の事例とは異なります。

選択肢5. 馴化−脱馴化法

「馴化」とは、ある特定の刺激に慣れることを意味します。

一方、「脱馴化」とは新しい刺激による反応回復を指します。

「刺激に慣れると反応が薄くなる」メカニズムを利用し、「乳児が異なる刺激を識別できているか」を考察する手法です。

まとめ

刺激に対する反応を把握し、「何を測定したいのか」をしっかりと見極めることが重要です。

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