公認心理師 過去問
第9回(2026年)
問140 (事例検討 問4)
問題文
20歳の男性A、大学生。手術後5日目である。退院前に、公認心理師Bにアセスメントが依頼された。Aは3か月前に交通事故に遭い、軽度の頭部外傷で総合病院に搬送された。頭部CT検査では異常が認められず、入院することなく帰宅した。その後の日常生活に支障はなかったが、2か月前から頭痛と物忘れが増えた。講義の内容が分からなくなり、期末試験の勉強も計画通りに進められず、多くの科目で不合格となった。家族に連れられ、総合病院を再受診したところ、頭部CT検査で血腫がみつかり、緊急入院となり手術を受けた。Aは「大学のことを考えると、不安になったり落ち込んだりする」と話している。
Bが行う心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第9回(2026年) 問140(事例検討 問4) (訂正依頼・報告はこちら)
20歳の男性A、大学生。手術後5日目である。退院前に、公認心理師Bにアセスメントが依頼された。Aは3か月前に交通事故に遭い、軽度の頭部外傷で総合病院に搬送された。頭部CT検査では異常が認められず、入院することなく帰宅した。その後の日常生活に支障はなかったが、2か月前から頭痛と物忘れが増えた。講義の内容が分からなくなり、期末試験の勉強も計画通りに進められず、多くの科目で不合格となった。家族に連れられ、総合病院を再受診したところ、頭部CT検査で血腫がみつかり、緊急入院となり手術を受けた。Aは「大学のことを考えると、不安になったり落ち込んだりする」と話している。
Bが行う心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。
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BDI−Ⅱ
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HDS−R
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SLTA
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STAI
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WCST
この過去問の解説 (3件)
01
正しい選択肢は、「WCST」です。
Aは、頭部外傷のあとに血腫が見つかり、手術を受けています。事故後、頭痛や物忘れが増えただけでなく、講義内容が分からない、試験勉強を計画通りに進められないなど、「認知機能」や「遂行機能」の問題が疑われます。
BDI−Ⅱは、うつ症状の程度を調べる検査です。
Aは「不安になったり落ち込んだりする」と話しているため、気分の評価も大切です。
しかし、この事例で中心になっているのは、頭部外傷後に起きた物忘れや、学習・計画の困難です。
HDS−Rは、認知症のスクリーニングによく使われる検査です。
主に高齢者の記憶力や見当識などを簡単に確認する目的で使われます。
Aは20歳の大学生であり、認知症を疑う場面ではありません。
SLTAは、失語症を調べる検査です。
話す、聞く、読む、書くなど、言語機能の障害を評価します。
Aには、言葉が出ない、話が理解できない、読み書きが大きく障害されているといった失語症を強く疑う情報は示されていません。
STAIは、不安の程度を調べる検査です。
Aは大学のことを考えると不安になると話しているため、不安の評価に役立つ場合はあります。
しかし、問題文では、物忘れ、講義理解の困難、試験勉強を計画通りに進められないことが重要です。
正解です。
WCSTは、カード分類課題を通して、考え方を切り替える力や、状況に応じて行動を修正する力を調べる検査です。
特に、前頭葉に関係する「遂行機能」の評価に使われます。
Aは、試験勉強を計画通りに進められず、多くの科目で不合格になっています。
これは、単なる気分の落ち込みだけでなく、計画を立てる、順序よく進める、状況に合わせて行動を変えるといった力が低下している可能性を示しています。
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02
交通事故による遅発性の頭部血腫と認知機能低下を示す男性の心理検査選択についての臨床神経心理学事例問題です。
(分野:心理状態の観察及び結果の分析)
正答は「WCST(ウィスコンシン・カード分類検査)」です。
うつ病の症状重症度を測定する21項目の自己記入式尺度です。Aが「不安になったり落ち込んだりする」と述べており感情面のアセスメントは必要ですが、器質的損傷後の退院前アセスメントとして優先すべきは認知機能評価であり、感情面の評価は二次的位置づけになります。
主に高齢者の認知症スクリーニングを目的とした検査で、見当識・記憶・計算等を評価します。20歳の若年者に用いる検査としては適切でなく、また本事例で問われているのは認知症の有無ではなく外傷後の遂行機能障害です。
失語症の有無・タイプ・重症度を評価する検査です。失語症は主に左半球言語野の損傷で生じますが、本事例には発話・理解・読み書きの障害という失語症状の記述はなく、適応外です。
状態不安と特性不安を測定する自己報告式尺度です。不安症状の評価には有用ですが、本事例の中心的問題は器質的損傷による認知機能への影響であり、不安の程度測定は病態把握の主軸になりません。
WCST(ウィスコンシンカード分類テスト)は前頭葉機能、特に遂行機能(概念形成・認知的柔軟性・セットの切り替え)を評価する神経心理学的検査です。本事例では慢性硬膜下血腫による前頭葉への圧迫が疑われ、「講義内容の理解困難」「計画通りに学習が進められない」という症状は遂行機能障害と一致します。
本問のポイントは「器質的損傷(慢性硬膜下血腫)+前頭葉症状(計画・遂行の困難)=遂行機能評価」という論理の流れです。感情症状(不安・落ち込み)の記述があるためBDI-ⅡやSTAIに引きずられやすい設問ですが、退院前アセスメントの文脈では器質的損傷に対応する神経心理学的検査が優先されます。
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03
交通事故後の経過による高次脳機能障害に関する問題です。
ベック抑うつ質問票という、名前の通り抑うつ尺度です。
うつの評価には活用できそうですが、今回は認知機能低下をはじめとした高次脳機能障害のスクリーニングが必要なので非該当です。
長谷川式認知症スケールであり、認知症スクリーニングで使用します。
今回は認知症を疑うというよりも交通事故後の血腫が考えられるため優先度は低いと考えられます。
失語症の評価で使用します。
当事例で言語障害は見られていないので非該当です。
不安の尺度です。
Aは「大学のことを考えると、不安になったり落ち込んだりする」と話していますが、現時点で選択し得る心理検査は優先度は低いと考えられます。
主に前頭葉機能を評価する検査です。
当事例では「講義の内容が分からない」、「期末試験の勉強も計画通りに進められない」といった前頭葉系の遂行機能障害が疑われます。
よって、WCSTが最適と考えられます。
当時例のポイントは「外傷後の認知機能低下」です。
文中の”不安”や”落ち込み”という表現に気を取られがちですが、感情に左右されず、適切な心理検査を選択することが重要です。
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