公認心理師 過去問
第9回(2026年)
問141 (事例検討 問5)
問題文
36歳の男性A、会社員。同僚からの勧めで心療内科クリニックを受診した。Aによると、1年前に部署を異動してから、重要なプロジェクトに関わり、残業も増え、半年前からは寝付きが悪くなり、集中力が落ちて仕事上のミスも目立つようになった。朝起きたときから気分が重く、何をするのもおっくうに感じる。休日はほとんど家で横になって過ごし、以前は楽しみにしていた趣味もしなくなった。外出や人付き合いも避けがちになっているという。主治医は投薬の反応をみて、改善傾向にあることを確認したため、公認心理師Bに認知行動療法の実施を依頼した。
Bが行う認知行動療法として、最も適切なものを1つ選べ。
付箋
付箋は自分だけが見れます(非公開です)。
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
公認心理師試験 第9回(2026年) 問141(事例検討 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
36歳の男性A、会社員。同僚からの勧めで心療内科クリニックを受診した。Aによると、1年前に部署を異動してから、重要なプロジェクトに関わり、残業も増え、半年前からは寝付きが悪くなり、集中力が落ちて仕事上のミスも目立つようになった。朝起きたときから気分が重く、何をするのもおっくうに感じる。休日はほとんど家で横になって過ごし、以前は楽しみにしていた趣味もしなくなった。外出や人付き合いも避けがちになっているという。主治医は投薬の反応をみて、改善傾向にあることを確認したため、公認心理師Bに認知行動療法の実施を依頼した。
Bが行う認知行動療法として、最も適切なものを1つ選べ。
-
認知処理療法
-
系統的脱感作法
-
行動活性化療法
-
エクスポージャー
-
ソーシャル・スキルズ・トレーニング
この過去問の解説 (3件)
01
正しい選択肢は、「行動活性化療法」です。
Aは、仕事の負担が増えた後に、寝付きの悪さ、集中力の低下、気分の重さ、意欲の低下、趣味をしなくなる、休日に横になって過ごすなどの状態がみられます。
これは、うつ状態でよくみられる特徴です。
認知処理療法は、主にトラウマ体験後の苦しさに対して用いられる治療法です。
つらい出来事についての考え方を整理し、罪悪感や恐怖などを和らげることを目指します。
Aには仕事上のストレスはありますが、問題文ではトラウマ体験やPTSDの症状が中心ではありません。
系統的脱感作法は、不安や恐怖を感じる対象に対して、リラックスしながら少しずつ慣れていく方法です。
たとえば、高所恐怖や動物恐怖などで使われることがあります。
Aの主な問題は、特定の対象への恐怖ではなく、気分の落ち込みや活動量の低下です。
正解です。
行動活性化療法は、うつ状態の人が、生活の中で楽しさや達成感を得られる行動を少しずつ増やしていく方法です。
Aは、以前楽しんでいた趣味をしなくなり、休日もほとんど横になって過ごしています。
このように活動が減ると、気分がさらに落ち込み、ますます動きにくくなる悪循環が起こります。
行動活性化療法では、無理のない範囲で行動計画を立て、小さな活動から再開することを目指します。
たとえば、短い散歩をする、趣味に少しだけ触れる、生活リズムを整えるなどです。
エクスポージャーは、不安や恐怖を感じる場面を避けずに、少しずつ向き合って慣れていく方法です。
強迫症、パニック症、PTSD、不安症などで使われます。
Aには外出や人付き合いを避ける様子はありますが、中心は恐怖場面への回避ではなく、うつ状態による意欲低下です。
ソーシャル・スキルズ・トレーニングは、人との関わり方や会話の仕方、断り方、頼み方などを練習する方法です。
対人関係の技能を高めるために使われます。
Aは人付き合いを避けがちになっていますが、問題文では対人スキルの不足が中心とは示されていません。
参考になった数2
この解説の修正を提案する
02
仕事のストレス増加に伴う抑うつ症状を呈する男性患者への認知行動療法の実施についての臨床事例問題です。
(分野:心理に関する支援(相談、助言、指導その他の援助))
正答は「行動活性化療法」です。
PTSDに特化した認知行動療法で、トラウマに関連した思考の歪み(スタックポイント)の修正を目的とします。本事例にはトラウマ体験の記述がないため、適切ではありません。
不安・恐怖症への行動療法で、リラクゼーションと段階的な不安階層表を組み合わせて恐怖刺激への条件付けを解除します。本事例の回避は恐怖刺激への条件付けではなく抑うつによる活動低下であるため、適切ではありません。
うつ病に特化したCBTアプローチで、「活動の減少→ポジティブ強化の喪失→抑うつの悪化」という悪循環を断つことを目的とします。本事例では「趣味をしなくなった」「外出・人付き合いを避ける」「休日は横になって過ごす」という活動量の顕著な低下が示されており、行動活性化療法が適切です。
不安症・強迫症・PTSDにおいて、恐怖刺激に段階的または集中的に直面させ回避行動を消去する技法です。本事例の主病態はうつ病であり恐怖回避モデルが主軸ではないため、第一選択としては適切ではありません。
対人場面での具体的なコミュニケーションスキルを獲得・般化させる技法で、統合失調症・発達障害・社交不安症等に用いられます。本事例の対人回避はスキルの欠如ではなく抑うつによる活動低下が原因であるため、SSTは適切ではありません。
本問のポイントは「うつ病+活動量の低下・回避」というパターンを見て行動活性化療法を選択できるかです。
CBT技法は疾患・問題との対応で整理することが効率的で、
行動活性化療法=うつ病の活動低下
エクスポージャー=不安・恐怖回避
認知処理療法=PTSD
SST=スキル欠如、という軸で記憶しておくと鑑別が速くなります。
参考になった数1
この解説の修正を提案する
03
うつ状態に対する認知行動療法の問題です。
主にPTSDに対して行われます。
特にトラウマ関連疾患の認知変容を促すものであり、ここでは非該当です。
古典的条件付けのメカニズムに基づいた不安階層表をもとにリラクゼーションしながら刺激への暴露に取り組む手法です。
主に全般性不安症、パニック障害、強迫症、恐怖症などに有効です。
当症例は、うつ状態により達成感や楽しみなどが減ってしまった状態です。
行動活性化療法はこれらを少しずつ増やして気分改善を試みる心理療法であり、認知行動療法の中でも”うつ病”でメジャーとなります。
特定の対象や状況に対する強い不安反応、強迫観念を軽減していく目的の心理療法です。
具体的には、「避けている刺激(対象)」に慣れていく治療=暴露療法として知られています。
通称SSTと呼ばれる対人コミュニケーションスキルの訓練を指します。
今回の趣旨とは異なりますので非該当です。
睡眠状態の悪化、集中力低下、ミスの増加に加え、気分の落ち込み、活動低下などが見られています。
症例像から病態を把握し、適切な心理療法を選択しましょう。
参考になった数0
この解説の修正を提案する
前の問題(問140)へ
第9回(2026年) 問題一覧
次の問題(問142)へ