公認心理師 過去問
第9回(2026年)
問144 (事例検討 問8)

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問題

公認心理師試験 第9回(2026年) 問144(事例検討 問8) (訂正依頼・報告はこちら)

45歳の女性A、夫Bと二人暮らし。腹痛や頭痛、動悸などの症状を訴え、総合病院内科を受診した。Aによると、1年ほど前からこれらの症状が気になり始め、これまで複数の病院を受診してきたが、原因は分からなかった。痛みが強いため、半年前から外出を控えるようになり、買い物や友人との交流も減った。Bからは「気にしすぎだ」と繰り返し言われ、夫婦関係も悪化している。Aは担当医に「この痛みが続く限り、普通の生活はできません」と不安そうに訴えた。精密検査が行われ、異常は認められなかったとの説明を受けたが、Aは「何かの病気が隠れていると思います」と納得せず、再検査を求めた。
Aの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 適応障害
  • 社交不安症
  • 身体症状症
  • 全般不安症
  • 病気不安症

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この過去問の解説 (3件)

01

複数の身体症状と医学的検査異常なし、医学情報の納得困難を示す女性の診断についての臨床事例問題です。
(分野:精神疾患とその治療)
正答は「身体症状症」です。

選択肢1. 適応障害

特定のストレス因(転職・離婚等)への反応として情動・行動症状が生じる障害で、ストレス因がなくなれば症状も改善します。本事例には明確なストレス因の記述がなく、また1年以上継続する経過も適応障害の時間的基準と合致しないため不適切です。

選択肢2. 社交不安症

他者から否定的に評価されることへの恐怖を中核とし、対人場面での強い不安・回避が生じる障害です。本事例の外出回避は対人評価への恐怖ではなく身体症状による苦痛が原因であるため、不適切です。

選択肢3. 身体症状症

身体症状症はDSM-5で新設された診断概念で、①実際に体験される身体症状の存在②その症状に関連した過剰な思考・感情・行動の2点が中核です。本事例では腹痛・頭痛・動悸という実際の身体症状が存在し、複数病院の受診・外出回避・夫婦関係の悪化という生活障害も生じています。さらに「この痛みが続く限り普通の生活はできない」という破局的認知が明確に示されており、身体症状症の診断基準に合致します。

選択肢4. 全般不安症

仕事・健康・日常の様々なテーマについて制御困難な過剰な心配が持続する障害です。本事例の不安は身体症状という特定のテーマに限定されており、不適切です。

選択肢5. 病気不安症

身体症状がほとんどないにもかかわらず、重篤な病気にかかっているという強い恐怖・不安が持続する障害です。本事例では実際の身体症状(腹痛・頭痛・動悸)が存在する点が病気不安症との決定的な違いであり、不適切です。

まとめ

本問最大の鑑別ポイントは身体症状症と病気不安症の区別です。両者とも医学的説明がつかない健康への不安という点で類似しますが、実際の身体症状の有無が分岐点になります。また身体症状症では「症状そのものの苦痛」と「それに伴う過剰な認知・行動」の両方が必要であり、本事例の破局的認知(普通の生活はできない)と行動変容(外出回避・複数受診)がその根拠になります。

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02

正しい選択肢は、「身体症状症」です。

 

Aは、腹痛、頭痛、動悸などの「身体症状」に強い苦痛を感じています。検査で異常が認められないと説明されても、「何かの病気が隠れている」と強く心配し、再検査を求めています。
また、症状への不安のために外出を控え、買い物や友人との交流も減っており、生活に支障が出ています。

選択肢1. 適応障害

適応障害は、はっきりしたストレスの原因があり、それにうまく適応できず、不安や落ち込み、生活上の問題が出る状態です。
Aは夫婦関係の悪化や生活の制限がありますが、中心になっているのは、ストレスへの反応ではなく、腹痛や頭痛などの身体症状への強い不安ととらわれです。

選択肢2. 社交不安症

社交不安症は、人前で話す、注目される、他人から評価されるといった場面で強い不安を感じる状態です。
Aは外出や友人との交流が減っていますが、その理由は人に見られる不安ではなく、痛みや体調への不安です。

選択肢3. 身体症状症

正解です。

身体症状症では、痛みや動悸などの身体症状があり、その症状について強い不安や心配が続きます。
症状を気にする時間が長くなったり、何度も受診や検査を求めたり、生活が制限されたりすることがあります。

Aは、複数の病院を受診し、精密検査で異常がないと説明されても納得できず、再検査を求めています。
また、「この痛みが続く限り、普通の生活はできません」と話しており、症状へのとらわれが生活に大きく影響しています。

選択肢4. 全般不安症

全般不安症は、仕事、家族、健康、お金など、いろいろなことについて長期間にわたって強い心配が続く状態です。
Aにも不安はありますが、不安の中心は、いろいろな生活上の心配ではなく、身体症状と病気への心配です。

選択肢5. 病気不安症

病気不安症は、重大な病気にかかっているのではないかという強い不安が中心ですが、身体症状はないか、あっても軽いことが多いです。
一方、Aは腹痛、頭痛、動悸などの症状を強く訴え、それによって外出や生活に支障が出ています。
病気への不安もありますが、目立っているのは「身体症状への苦痛ととらわれ」です。

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03

DSM-5に基づく病態理解に関する問題です。

まずは、身体症状を主訴に来院したAさんの病態像をしっかりと把握しましょう。

選択肢1. 適応障害

身体に不調は表れているものの、ストレス要因が特定されておらず説明がつきません。

選択肢2. 社交不安症

人前での視線や注目を浴びることへの不安や恐怖感、それによる不調ではないので非該当です。

選択肢3. 身体症状症

腹痛や頭痛、動悸など複数の症状が見られています。

また、その症状に対し、半年前から外出を控えるようになり、買い物や友人との交流も減るなど、生活障害が強く窺えます。

病気不安症と迷うところですが、病気不安症(心気症)は「病気なのではないか?」という不安や囚われから生活が破綻してしまうことに対し、身体症状症は症状そのものから生活機能が低下することが大きな違いとなっています。

そのため、ここでは身体症状症を選択することが最も適切です。

選択肢4. 全般不安症

Aさんは1年前から身体症状に悩まされており、生活機能が停滞していますが、心配の対象が広範囲であり、全般不安症とは説明できないため非該当です。

選択肢5. 病気不安症

「検査で異常なしと言われても病気があると信じている」、「これまで複数の病院を受診してきたが、原因は分からなかった」とみると病気不安症(心気症)と考えてしまいます。

しかし、ここでは身体症状が複数存在し、実際に半年前から外出を控えるようになり、買い物や友人との交流も減ったようです。

病気不安症であれば「癌かもしれない」「大病かもしれない」という病気に対する不安からドクターズショッピングを繰り返したり、検査結果を信じられなくなってしまうため、慎重に鑑別する必要があります。

まとめ

病気不安症と身体症状症の鑑別ポイントは、「症状の重症度と生活障害の原因」であることを押さえましょう。

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