公認心理師 過去問
第9回(2026年)
問148 (事例検討 問12)
問題文
7歳の男児A、小学2年生。半年前に児童養護施設に入所した。施設内に勤務する公認心理師が、主任保育士からAの状態について相談を受けた。Aは乳児期に居室内で数日間放置され、その後も居所を転々とした。夜間徘徊により保護され、6歳時に現在の施設に入所した。入所初日から職員たちになつく様子をみせ楽しそうであったが、寝付きが悪かった。施設内では、初めて会う来客や実習生にも警戒なく近づき、手をつないだり膝に座ろうとしたりすることがある。学校でも同級生との関わりは少なく、通学路では見知らぬ人に「お家に連れて行って」と頼んだという。
Aの状態の理解として、適切なものを1つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第9回(2026年) 問148(事例検討 問12) (訂正依頼・報告はこちら)
7歳の男児A、小学2年生。半年前に児童養護施設に入所した。施設内に勤務する公認心理師が、主任保育士からAの状態について相談を受けた。Aは乳児期に居室内で数日間放置され、その後も居所を転々とした。夜間徘徊により保護され、6歳時に現在の施設に入所した。入所初日から職員たちになつく様子をみせ楽しそうであったが、寝付きが悪かった。施設内では、初めて会う来客や実習生にも警戒なく近づき、手をつないだり膝に座ろうとしたりすることがある。学校でも同級生との関わりは少なく、通学路では見知らぬ人に「お家に連れて行って」と頼んだという。
Aの状態の理解として、適切なものを1つ選べ。
-
レット症候群
-
ウィリアムズ症
-
注意欠如多動症
-
脱抑制型対人交流障害
-
反応性アタッチメント障害
この過去問の解説 (3件)
01
早期の深刻な養護欠損と見知らぬ人への警戒なし、無分別な接近を示す男児についての愛着障害の診断についての発達精神医学事例問題です。
(分野:発達)
正答は「脱抑制型対人交流障害」です。
主に女児に発症するX染色体連鎖の神経発達疾患で、正常発達後に手の常同運動・言語退行・歩行障害が生じます。男児である点・対人接近行動が主症状である点・遺伝的疾患である点から不適切と言えます。
7番染色体の微細欠失による遺伝的疾患で、知的障害・心血管異常・妖精顔貌・他者への過度の親しみやすさを特徴とします。対人接近という点で類似しますが、本事例には染色体異常を示す身体的特徴や心血管異常の記述がないことから不適切と言えます。
不注意・多動性・衝動性を中核症状とする神経発達症です。本事例の問題行動は多動・不注意ではなく「見知らぬ他者への無差別な接近・接触」であり、ADHDの診断基準とは合致しないため不適切です。
脱抑制型対人交流障害はDSM-5で反応性アタッチメント障害と並ぶ愛着障害の一つで、養育者への選択的愛着が形成されなかった結果、見知らぬ他者に対しても警戒なく過度に接近・接触しようとする行動パターンを特徴とします。本事例では「初対面の来客・実習生に警戒なく近づく」「見知らぬ人に連れて行ってと頼む」など典型的な脱抑制型対人交流障害の行動が複数示されています。
養育ネグレクトを背景とする愛着障害の一つですが、脱抑制型対人交流障害とは逆に他者への接近・愛着行動が抑制・制限される点が特徴です。本事例のAは他者に積極的に接近しており、接近抑制を示すRADとは行動パターンが正反対であるため、不適切です。
本問の核心は脱抑制型対人交流障害と反応性アタッチメント障害の鑑別で、「見知らぬ人への無差別な接近=脱抑制型対人交流障害」「他者への接近の抑制=反応性アタッチメント障害」と行動の方向性で区別することが最短の解法です。
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02
不適切な養育環境で育ち、児童養護施設入所となっているAに関する事例問題です。
ポイントは
・乳児期の放置期間
・住居が転々とした過去
・養育者との愛着形成が困難
・初対面の大人に警戒なく近づき、過度な接触を求める
という点です。
小児慢性特定疾患および指定難病に指定されている疾患です。
主に女児に発症し、手もみ運動や発達退行がみられます。本事例ではこのような記載はありませんので非該当です。
ウィリアムズ症は遺伝性疾患です。妖精様顔貌、精神発達の遅れのほか、身体合併症の発症がリスク因子となります。
当疾患も人懐っこさや社交的なキャラクターを持つ特徴がありますが、当事例のAは幼少期の社会的負因が大きく、愛着障害の文脈を汲み取ることで除外が可能です。
ADHDと称される発達障害の1つです。
多動や不注意などが特徴とされる疾患であり、本事例とは合わず非該当です。
脱抑制型対人交流障害は、初対面の相手にも過度に親密な行動を示すことがよく知られていますが、ここで注目すべきは他者と協調的に行動することは難しい側面を持っているということです。Aは同級生との関わりは少ない一方で、見知らぬ人に「お家に連れて行って」と頼んだりとチグハグな行動をしています。これはさらなる根拠となり、正解です。
愛着障害を予想して選択したくなりますが、反応性アタッチメント障害は他者への情緒的反応が乏しく、信頼や親密さを欠くことが特徴です。
本事例のAは、初対面の大人に対して無差別に近づく様子が見られたため非該当です。
愛着障害に関する出題でした。
ネグレクト歴を持つ児童の愛着に関し、
脱抑制型対人交流障害は「無差別に近づく」、
反応性アタッチメント障害は「かかわりを持たない」と対比で覚えましょう。
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03
正しい選択肢は、「脱抑制型対人交流障害」です。
Aは、乳児期に放置され、その後も居所を転々とするなど、安定した養育を受けにくい経験があります。
そのうえで、初めて会う来客や実習生にも警戒なく近づく、手をつなぐ、膝に座ろうとする、見知らぬ人に「お家に連れて行って」と頼むなど、見知らぬ大人に対して過度に親しげに関わる行動がみられます。
レット症候群は、主に女児にみられる神経発達症の一つです。
いったん身についた手の動きや言葉が失われたり、手をもむような特徴的な動きがみられたりします。
Aの事例では、発達の退行や特徴的な手の動きではなく、見知らぬ人にも警戒なく近づく対人行動が中心です。
ウィリアムズ症では、知的発達の遅れや特徴的な顔つき、心血管系の問題などがみられることがあります。
また、人なつこい様子がみられる場合もあります。
しかし、Aの場合は、乳児期の放置や不安定な養育環境のあとに、見知らぬ人へ過度に近づく行動が出ています。
注意欠如多動症は、不注意、多動性、衝動性が中心となる状態です。
忘れ物が多い、じっとしていられない、順番を待つのが苦手などの特徴がみられます。
Aには、知らない人にも近づきすぎる行動がありますが、問題文の中心は不注意や多動ではありません。
正解です。
脱抑制型対人交流障害は、十分な養育や安定した愛着関係を得にくかった子どもにみられることがある状態です。
特徴は、見知らぬ大人に対しても警戒心が少なく、過度に親しげに近づくことです。
Aは、初めて会う来客や実習生に近づき、手をつないだり膝に座ろうとしたりしています。
さらに、通学路で見知らぬ人に「お家に連れて行って」と頼んでいます。
これは、年齢相応の人見知りや安全確認が弱く、知らない人にもなれなれしく関わってしまう状態です。
反応性アタッチメント障害も、不適切な養育や安定しない養育環境と関係します。
ただし、こちらは、子どもが大人に対してあまり近づかず、つらいときにも助けを求めにくいなど、対人関係が引っ込みがちになることが特徴です。
Aは逆に、知らない人にも警戒なく近づいています。
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